内緒の保健室
『蓮斗…』
「勝手にどっか行くなよ…」
蓮斗にしてはとても珍しい弱々しい声だった。
少しかすれた、甘い声色。

『あたし…どこにも行けないよ』気付いてしまったから…。
蓮斗がいないと、あたしは……。きっとダメになってしまう。

「………」
『………』
「………」
『…ちょっ、なんか言ってよ』
「…るさい」
『え?』
「…うるさい、黙ってよ」
『へ…?』
一瞬なんだかわからなくなったけど、すぐにわかった。
『ふふっ♪』
蓮斗、顔が赤いんだ♪
『可愛いとこあるね』
「…うるせー」
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