エリートな彼は溺愛を隠さない
「…どういう…意味?」

私は彼が後悔しているのでは、と不安に思いながらも訊ねた。

これが今夜限りなら…、それを受け入れて、明日からはまた今までと変わらず過ごしていこう。…その覚悟は出来ていた。

「これから俺はどうなるのか…」

「……?」

「大体、女に自分を好きか聞いている時点でもう、見失っているけどな」

彼は煙草を軽く揉み消すと私に向き直り、その温かい胸に私の頭を優しく抱える。

「…夏哉?……これきりでも…いいのよ……?」

戸惑いの表情を崩さない彼に助け船を出す。

そう、いいわ。
次から次へとこれからも彼を欲しがる綺麗な女性が沢山現れるわ。

私が側にいていいはず、…ない。


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