Strawberry[更新停止中]

「ねぇ、侑」


「うん?」


「これだけは、忘れないで」


少し悲しそうな顔をした直人が、あの頃とうまく重ならないの。


「今までも、これからも。俺にとって、侑は何よりも大切なんだよ。大切な、大切な子なんだ‥‥父さんたちにとっても。」



やさしい直人。




そんなとこ言ってもらう価値なんて私にはないのに。



あれ以来、直人の実家にも戻らず、私は両親の遺産で生活してる。


育ててくれたなおとの両親にもあれから会っていない。


私が家を出る条件はただ一つ。



自立するまでは、二ヶ月に一回は直人と会うことだったから。



実家へ顔を出すことは条件に入っていなかった。



時を忘れた浩太と私。



五年間、止まったままの私の心。



身に着けたのは、からっぽの笑顔だけかもしれない。





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