紙飛行機

       * * *

あたしは、しばらくして退院した。

殺風景な、病室ですごした、2年半。

寂しかった。辛かった。


「おかあーさん、退院だよ!」

あたしは、嬉しそうにお母さんに

報告した。

「知ってるわよ、おめでとう」

「へへっ、ありがとう」

あたしは、小学3年生になっていた。

「でも、聞いて?シズク」

「...どうしたのお?おかあーさん」

「退院しても、家でじっとしてなきゃあ

いけないの。ごめんね」

あたしは、唖然とした。

言葉がでないし、残酷すぎて理解しよう

がなかった。

「ど、して?」

「シズクの怪我がひどいんだって。

命が助かっただけで、奇跡なの」

そんなの信じられない。

友達にも会えない。

悲しいし、辛い。

「....っうぅ...っ、」

初めて、お母さんに泣き顔を

見せたな。

しっかりと。

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