愛情狂現-2人の日常-



風邪をひいたせいか、いつもは自信家な秋も弱っているようだ。


私を強く抱きしめて眠る秋の横顔を盗み見る。


猟奇的な影も歪んだ愛もない、ただの普通の少年だ。


でもこういう穏やかな秋も、たまに顔をのぞかせる狂った秋も、両方秋なんだ。


私の愛する人。


愛しくて、恋しくて、悲しくて、寂しくて。


どんな秋だって私の大切な兄だ。



「秋、私はどこにも行かないよ」



いや、どこにも行けないんだ。


秋はよく私がいない世界なんていらないって言うけど、それは私も同じだよ。


君がいないなら、世界なんていらない。


私は秋なしじゃ生きられないから。


だからやっぱり私はいつまでも―――



「あきの隣に、いるからね・・・」



ねぇ、秋もずっと一緒にいてね?




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