大地くんの天気予報
絢姉さんは、無表情だった。
お稽古が終わった後で、少し首元を緩めた浴衣姿に、アップにした長い髪は、少しだけほつれて垂れ下がっていた…。
僕は、ドアの前に立ったまま、動けずにいた。
「…おばさんには言ってあるから。勝手に入ったわけじゃないからね?」
「…知ってます」
僕がうつむきながらそう言うと、絢姉さんはフフッと笑いながら立ち上がり、僕の部屋を見回した…。
「…キレイにしてるのね」
「……」
すると、絢姉さんは、僕の机の上に目をやった。
そこには、昨日大ちゃんと一緒に撮ったプリクラと、茶色のウサギのぬいぐるみが置いてあった。
白い方のウサギは、母さんにあげたのだ。
僕は、絢姉さんがそれらのものに触れようとするのを見て、自分から声を発した…。