幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
ホークの顔に、優しい笑みが浮かんだ。


「わたしにはお前がいる。その辺を吹き飛ばすような不肖の弟子だが、お前がわたしを裏切る日が来るとは思えない」


あたしの心がチクンと痛んだ。


あたしは織師になりたいってホークに言ってない。

ジャルグの事だって隠したままだ。

でも、これは『裏切り』じゃないよね?

ほんのちょっと言いそびれているだけ。

ちゃんとホークに話す気はあるもの。


「信頼に応えられてるといいんだけど」

あたしはそう言って、また帳簿に目を落とした。

ホークもまた書き物に戻ったのか、ペン先が紙を擦る音がした。


お互いにしばらく無言で仕事をしていると、

「アレクサンドラ」

唐突にホークがあたしの名を呼んだ。


「はい?」

あたしは顔を上げずに返事をした。


「隠している事があるなら早く言え」

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