幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
そして、ホークがいる。



あたしの少し前を歩いていたホークが、立ち止まって振り返る。


「早く来い」


「うん」


あたしは小走りでホークの後を追った。


「相変わらず、歩くのが遅いな」

ホークが呆れたように言った。


「遅くないよ。だいたい、歩幅が違い過ぎるんだもの」


「そうか?」

ホークは少しゆっくりと歩き出した。


ホークの求婚相手って歩くのが速いのかな?

そう言えば先代伯爵夫人も、歩くのがものすごく速い。

貴婦人っておしとやかに見えて、案外頑健なのかも。

今は平和だけど、いざという時に気絶するような奥方じゃ困るものね。



村のはずれまで来ると、子供が二人駆けてきた。

男の子と女の子――フィンとアナ、馬を繋いだ家の子だ。

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