幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「ルー、あんたの血を集めたのは誰?」


ルーは怯えたような目を向けた。


「おばあちゃんだよ。俺は病気だからって、薬を飲んで悪い血を抜くんだって」

「病気?」

「幻覚が見えるんだ。蛇がたくさん見えるんだ」

――これだけいりゃあ、嫌でも目に入るだろうさ

「おだまり、ジャルグ。ルー、あたしに掴まって。外に出よう」

――婆さんはいいのか?

「あたしの手に負えない気がする」


その時、あたしの背後で、重い砂袋を引きずるような音がした。


ズルッ ズルッ


――遅かったようだぜ


振り向くと、この家の老女が地面を這って近付いて来た。

乱れた白髪の陰から、狂気の光を宿した双眸が見えた。

血と土で汚れた唇がゾッとするような笑みを浮かべている。


足がすくんだ。

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