幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
ジャルグの炎が檻の底を焼き切り、大きな穴を開けた。


「ルー! 出ておいで」


あたしは手を伸ばして、穴から出ようとするルーを支えた。


ツンと異臭が鼻をついた。


排泄物と吐瀉物とおぼしき臭気に混じって、何か甘ったるく生臭い臭いがする。

ルーの腕を掴んだ時、あたしの手がヌルッと滑った。


血だ……


ルーの腕には無数の傷があった。

どれもこれも深い傷ではなく、まるで樹液を採る時のような斜めの傷だ。

手の平を鼻に近付けた。

胸が悪くなるような、甘ったるい臭いがする。


「ジャルグ、この臭い……」


――おい。そいつの血は毒っ気を含んでるぞ


あたしの頭が目まぐるしく回転した。


おびただしい数の毒蛇

森で草を集める老女

毒気を含んだ血

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