幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「子供時代のあたしにとって、ホークは神様みたいだったんです。何でもできて、何でも知っていて」


「今でもそうなのではなくて?」


「それに『堅苦しい』と『分からず屋』が加わりました」


王妃様が声を立てて笑う。


修道院での毎日は穏やかで、意外にも笑いに満ちていた。


泣き虫のウイローミアは修道院特製のお菓子作りを学んでいて、失敗してはあたしに『一緒に食べて』と泣きついてきた。

ある時、食べ切れずに困り果てていたあたし達を見て、ジェニスタはロザリンドを呼んできた。


「どうせわたしは不幸の星の下に生まれたのよ」

そう言って失敗作のお菓子をムシャムシャと食べたロザリンドは、驚いた事に天使のような歌声の持ち主だった。


「たまには文句を言うのをやめなさいよ」

ピシャリと言ったジェニスタはやっぱり気取り屋だったけれど、王妃様に仕えるのを心から誇りにしていて、かいがいしくお世話をしていた。


「そなた達だけでおやつですか?」

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