幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「本気ですとも。今までの陛下はイメージが悪すぎです。冷酷、非情、うたぐり深い――まあ、隣国がそういう噂を流しているんですから仕方ありませんがね。このままでは暴君にされてしまいます」


「当たらずとも遠からずではないか」


「陛下、戦を仕掛ける方には大義名分がいるんです。『暴君から人々を救う』といったような。わざわざつけ込まれるような隙を作らなくてもいいでしょう?」


「確かにそうだ」


「王よ、こちらから先に攻めましょう! 街道を封鎖されているも同然では、物の流れも滞ってしまいます!」

立派な髭を生やした、どこぞの伯爵様が力強く言った。


――街道を封鎖されてるのかい?

あたしの肩に乗っているジャルグが、小声で言った。


「山賊が横行しているんだって。商人が怖がって通らないの」


――山賊? 徹底的にやっつければいいじゃねぇか。嬢ちゃんのお師匠さんなら、一人でもできるだろ?


「それがそうもいかないんだ」

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