幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
リーによると、その山賊というのも実際は隣国の兵士で組織されていて、小さな軍隊と言ってもいいくらいだという。


「アレクサンドラ、何か言ったか?」

王様がそう言うと、その場にいる全員があたしの方を見た。


わぁ―――っ! しまったっ!!


あたしは困ってしまって、隣に座るホークを見上げるた。


「返事くらいしなさい」

ホークが言った。


「えーと……すみません、サラマンダーに状況を説明していただけなんです」


「おいおい、幻獣はペットではないぞ」

誰かが小ばかにしたように言った。


「ジャルグは――あたしの召喚したサラマンダーは、話します。求めれば助言も」


部屋の中がざわついた。


『幻獣が話すなど聞いた事がない』――そんな声が聞こえた。

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