幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「二階で繕い物でもしてちょうだい」


母は、あたしに綻びてしまった服の山を寄越した。


それが一番いいかも。

手仕事なら得意だ。


もっとも、あたしと母の分の繕い物なんて、あっという間に終わってしまったけれど。


退屈――


ため息をつきかけたあたしの目の端に織り機が入った。


それは以前に織り師のおばば様から貰った練習用の小さな織り機で、テーブルの上に乗せて使えるようになっていた。


綴れ織りの練習をしてみようか?


篭には色とりどりの羊毛の糸もある。

余り物だから長さは中途半端だけれど、この織り機の幅なら十分だろう。


最初に亜麻糸を縦に掛けた。


この手の事なら手早いんだよね

どうして他の事は上手くいかないんだろう?


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