幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~

 2

ホークが帰って来て、アルス村では五月祭の準備が本格的に始まった。

ショーンとローズマリーの婚約も相まって、村は明るい話でいっぱいだ。


あたしはローズマリーに、泣かずに『おめでとう』を言えた。

二人は秋の収穫が終わったら結婚する。


しばらく領地を空けていたせいか、ホークも忙しそうだ。


「五月祭が終わるまで魔法修業は休むか?」


以前のあたしなら、ホークの言葉に躍り上がって喜んだだろう。


「やった!」


口先だけで明るく答えたけれど、別にやることがあるわけじゃない。


もう、ショーン達と遊びに行く事はないから。


二人の事は変わらず好きだ。

でも、置いて行かれたような寂しさが、あたしの胸の中にしつこくわだかまっている。


暇を持て余して母の手伝いをしてみたが、半時もしないうちに台所から追い出された。

魔法の才能と同じく、料理の才能もないらしい。


< 79 / 289 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop