幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
それとも、あれは夢だったんだろうか?


あたしは、痛む頭を押さえながら起き上がった。


いつもと変わらない自分の部屋だ。


テーブルの上に織り機が乗ったまま。


あたしは、ゆっくりと近づいた。

織りかけの布がそのままになっている。

恐る恐る覗き込むと――


サラマンダーがいない?


「何をしている!」


ホークの厳しい声に、あたしはひっくり返りそうになった。


「驚かせないで」


「それはこちらの台詞だ。倒れる前に座りなさい」


あたしはホークに支えられながら、ベッドの端に座った。


「お前の母上が調合した薬だ」


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