幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
ホークが小さな瓶を差し出す。


これ、すごく苦いんだよね


「ねえ、母はいないの?」


「母上は休まれている。お前の看病で、ずっと眠っていなかったのだ。わたしが代わりにお前を看ているからと言って、やっと休んでもらった」


「ねえ、あたしどうしたの?」


「こちらが聞きたいね。高熱を出して寝込んでいたんだ。今日で……三日目だな」


「ねえ、今――」


「午後だ」

ホークは苛立ったようなため息をついた。

「アレクサンドラ、飲まねば頭痛が続くぞ」


分かってるよ!


あたしは薬を一気に飲み干した。


うえー 苦いぃぃぃ!


「口を開けろ、アレクサンドラ」

ホークはそう言って、あたしの口の中に何かを放り込んだ。


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