幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
――嬢ちゃんにはれっきとしたお師匠さんがいるじゃねぇか


そうなんだけど……


「いつも失敗続きなんだもの」


――一つだけ知恵を授けよう

サラマンダーは言った。

――嬢ちゃんの魔法は平たいんだ


「ひ……平たい?」


あたしは、訳が分からずに目を丸くした。


――そう。普通、召喚魔法ってのは、床に魔法陣を記してその上に呪文で魔法を組み上げて行くもんさ。それが目に見えない<扉>になる


魔法を組み上げる?


「よく分からないんだけど、召喚魔法って呪文で幻獣を呼び出すんじゃないの?」


――呪文で<扉>を作って呼び出すんだよ

サラマンダーは布の中で尻尾を振った。

――嬢ちゃんはいつも魔法を平たく組む。ちょうど織物みたいにな。だから<扉>が出来なくて、呼ばれた幻獣のエネルギーが溜まって……ドカン!


う、うん……

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