幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「爆発を引き起こすのは、あたしがエネルギーを<異界>に戻し損ねているからじゃないって事?」


――戻すも何も、はなっから引き出せていないのさ。<扉>が閉じたまんまなんだから


「でも、あんたは<扉>がなくても呼び出せたよ」


――<扉>はあったぜ、最初はな。でも、嬢ちゃんは調子づいて織ってたからな……葉っぱで<扉>のあった場所を塞いじまったんだよ


「なんか頭がぐちゃぐちゃになってきた」


今まで自分が教わってきた事、信じてきた事が揺らいでいく


――落ち込むなって。大多数の人間と物の見方が違う奴ってのはどこの世界にもいるもんさ


「どうやったら普通の魔導士みたいな感覚が掴めるの?」


あたしの言葉に、サランマンダーは動き回るのを止めてこっちを見た。


――そもそも『普通』って何だ? 左手で美しい絵を描ける画家が、右利きに直す必要がどこにある?


あたしは言葉に詰まってしまった。


――嬢ちゃんに必要なのは感覚を直す事じゃねえぞ

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