サグラダ・ファミリア
ホームで地下鉄を待っている間は、
妙に離れて立っていた私とシンだったが、
地下鉄が来た時、
シンが私の手を取って、
それから今度は、握りっぱなし。
「兄ぃ、いいんですかぁ?
あいつらぁ!
なんかラブラブっすけどぉ?
ねぇ兄ぃ、あああ、
可愛いっすねぇ」
ふわふわの毛波に、くりっとした目が映える。
動物然とした狐に頬擦りしながら、
白髪が私達を批判する。
狐は白髪に頬擦りされるたび、
ふすん、と不機嫌な声をもらし、
耳をピンッと動かしていた。
白髪の白い滑らかな手が、
狐のモフモフした腹を撫でる。
地下鉄のドア付近に向かい合わせて、
私とシン、白髪と狐のペアは立っていた。
地下道には、白く眩いライトが定間隔に付いていて、
列車の中に居る私達の頬を、流れるよう照らしていく。
「ソフィスティケイテッド、
つかぬことを聞くけど、
君はヴァンパイアなんだよね」
ふいにシンが白髪に声を掛けた。
窓の外には、次の駅の景色。
シンプルな木のベンチと、異国の言葉で、
商品名が書かれたお菓子の自販機。
壁には見慣れない広告が貼られている。