NObody
すごい勢いで駅から飛び出すと
綺麗に束ねてある髪をひと思いに解く…
会社にズル休みで電話するなんて初めてだ。

「すいません…風邪引いたみたいで…」
上司は不機嫌そうに
「お大事に」
そう言われて切られた。

まずは、着替えに帰らなくちゃ…来た道を引き返しドキドキする高鳴りを
ヒールの音で掻き消した。

何を着て行こうか…どんな髪型で、どんな顔で…
部屋に入るなり鞄をベットに投げ
クローゼットを全開にして服を見る

一番のお気に入りワンピースを取り出すとすぐに袖を通し
髪の毛はストレートに綺麗にクシで整える

いつもより2cm高めのヒールを履いて
あなたの家へと歩き出す

懐かしい道。
家は近いのにどうして、こんなにも会えないのだろう
よく中学校までかよった通学路
ここをまた歩けば、願わなくてもまたあなたに会えますか?

おかしいね
こんなにも会いたいのに震えるなんて

まだ残暑が厳しく額には自然と汗が滲む
左手に握ったハンカチがみるみる湿っていくのが分かる
信号を渡り、突き当たりを右に曲がると
10秒神社と呼ばれている神社がある。

10秒でその神社の前の道を通れたら願いが叶うっていわれている
言わば迷信神社。

そんなわけない…そう思っていても
私は昔と変わらずついやってしまう

「あなたに会えますように」っと…
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