海までの距離


「志願者…」

「で、現時点では誰もいないわけ」


M高には、K大の推薦で大学進学を確定させようという生徒がいないのか。
今の私の学力に見合うのがK大だから、つまり、皆はもっともっと上を目指して勉強しているということ。
それでも私は、


「推薦、受けたいです」


自分でも驚くほどの強い口調で、松岡にそう申し出た。










面談の後、私は学校に残らず、一目散に家に帰った。
家にはタイミング良くお母さんがいて、バタバタと玄関で騒ぎ立てた私にリビングから「うるさーい!」という怒声が飛んできた。
それでも気にせずリビングに飛び込む私。その様子に、お母さんが訝しがる。


「私、K大の推薦受けたい!」


「ただいま」も言わず、開口一番にそう叫ぶ娘に、母はきょとん。


「推薦って…あんたの学力じゃ、到底無理じゃないの?」
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