海までの距離
私みたいなこんな子供でも、平社員のお父さんがそれだけのお金を稼いでいるとは考えにくい。
私はすかさず、更に説得を続けた。


「私立だから、お金がかかるのは分かってる。でも、奨学金もあるし。バイトだってする。あんまり家計に響かないようにするから」


奨学金の申し込みは、今年の春のうちに済ませてあった。
どの道先々大金を要することは目に見えているんだからと、お母さんの助言に従って。


「あのねぇ、そういうのは受かってから言うもんよ」


呆れるお母さんのおっしゃる通り。
推薦を受けられることで、大学に受かる確率はぐっと上がったけれど、まだ合格が決まっていない。
だけどお母さんは、


「受けてみれば?折角のチャンスじゃない」


優しく私に笑いかけた。











海影さんは今日、撮影があると言っていた。
再来月にシングルCDを出すから、と。
そういうのって、丸1日かかるのかな。
そんなことを思いながら、Lilyの曲が緩く流れる自分の部屋で海影さんにメールを打つ。
一方的な内容だったけど、それでも海影さんに報告したかった。
報告しなくちゃならないと思った。
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