飛べない黒猫
青い画面いっぱいを自由に泳ぐ2匹の魚。

長い尾びれは水の流れにそって滑らかに波打ち、胸びれは小刻みに振動する。

真央は魚に餌を与えて、水を替えた。
2匹は1回転宙返りをして喜んでいる。

ベッドにノートパソコンを持ち込み、寝そべって眺めていた。

傍らにはクロオが、お腹を上にして眠っている。



画面を閉じて、今度はメールボックスを開く。


蓮のアドレス。
どうするべきか思案する。

が、…思いつかない。


感想と言われても、1日に1度、餌を与えるだけだし。
水を取り替えると、喜ぶだけだし。

何をどう書けばいいのだろう…。



真央は半回転して仰向けになる。

クロオの柔らかいお腹の毛が、手の甲に触れた。
そのまま撫でていると、グルグルグルって喉を鳴らした。



どうして、彼は分かったのだろう?

クロオが助けてくれる事を知っていた。
誰にも話した事ないのに。

お守りもくれた。
きっと、身体の中に入って来る黒い影の事も知ってるんだ。

クロオと同じ魔法の緑の目だから、わかるのかな…



お父さんは、ハーブだと言っていた。
会ってみたら外国人そのもので、日本の血が半分あるようには見えなかったけど。


最初は怖くてちゃんと見れなかったから、直ぐに気付いた訳ではないけど、一緒にいるうちに、少しづつ分かってきた。

赤い髪の毛は、ゆるくウエーブがあって、陽が当たると金色に変わる。

緑の目は、クロオよりも濃い深い緑色。

首と手に火傷の跡があって…指の2つが不自由だった。

お箸や、文字を書くのは左手を使っていたし、キーボードをたたく時も、残りの3本の指を器用に使っていたので、全く違和感は感じないのだけれど。


それと、きっと、すごく優しい人なんだ。

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