飛べない黒猫

新しい情報が常に発信し続けている。

世間の興味は、目まぐるしく入れ替わっている今のご時世だが、真央への異常な関心は一向におさまる気配がない。


全く表に出ない事で、かえってメディアの興味を煽ってしまったのか、真央に対しての神秘的な虚像はインターネットを媒介し妄想で膨れ上がっていった。




休日の午後。

珍しく4人が居間でくつろいでいた。


それぞれが異なる形態の業種で働いている為、事前に日時を合わでもしないと、なかなか全員一緒に過ごすことが出来なかった。

せっかくだから、以前、真央と蓮が食べた【たこ焼き】を食べに行こうと青田が言い出した。



車に乗り込み、セキュリティロックを外して門を出た。

その時だった。


目の前に、男が2人飛び出してきた。


「青田さんですよね、やっと捕まえましたよ！
ちょっと、お話いいですか？」


若い男が両手を広げて車の前に立ちはだかった。

青田は急ブレーキをかけ、窓から怒鳴る。


「やめて下さい、非常識なっ…」


蓮が車から飛び出して、男達の胸ぐらを掴み車から引き離す。


「ハイエナめ、うせろ！」


睨みつけられた男は、妙に冷静な顔で蓮に言い返した。


「ハイエナは、どっちなんでしょうね…。
今日は交換条件の提示に来ました。」


そして、よく通る大きな声で、青田と洋子にむかって言い放つ。


「私達は、26年前のアメリカ兵の事件の件と、息子さんとの関係について知っています。
出来れば、記事にしたくない。
代わりに、真央さんの独占取材を頂けませんかねぇ。」


男がニヤリと笑った。