Rose of blood *short story*
一度も足を止めることなく走り続けた。


足を止めてしまったら…エリーの元へ行きたくなってしまうから。




『あった…湖だ……』



そこには俺の心とは裏腹に、月に照らされ澄んだ水の大きな湖があった。


湖を覗き込むと自分の顔が綺麗に映る。


その澄んだ水を両手ですくいあげ、口の中に流し込んだ。


満足するまで水を飲み、誰にも見つからないようにエリーが来るのを茂みに隠れて待った。













だけど、日が昇り切っても…何日経っても……エリーが姿を現すことはなかった。








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