Rose of blood *short story*
*****


俺が来た途端静かになる食堂。


組織が出来上がって200年以上は経つというのに、仕事に関係のないことで話し掛けてくるのはジオラだけだ。


それとあの女……。



『ジオラ、少しいいか』

『おぉ!!ちょっと待ってくれ!!』



ジオラは雑に手を洗うと、腰に付けたエプロンで手を拭きながらキッチンから出てきた。


大柄で外見は近寄りがたい感じだが、内面は温厚で面倒見がいい。


だが、一度キレると手を付けられない。


怒りが収まるのを待つのみだ。


そんなジオラの姿を見たことがあるのは俺だけで、誰一人としてジオラのキレているところなど想像出来ないだろう。






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