Rose of blood *short story*
言いたいことが何なのかなんとなく分かった俺は、ジオラが口を開く前に部屋を出ようと思った。


だが、立ち上がろうとした俺の腕を掴み、ジオラに制止された。



『自分の気持ちに素直になれ』

『…何の事だ』

『お前はどうしてそう不器用なんだよ。俺と出会う前のお前に何があったのかは知らねぇが、つまんねぇ人生を死ぬまで続けるきか』

『つまらないも何も、楽しいだの嬉しいだのという感情が俺には分からない』



エリーと過ごした日々に感じていた感情を、思い出せなくなったのはいつからだろう…。


そんな事を考えていると俺の腕を掴んでいるジオラの手に力が入る。



『自分の幸せを考えろ。今のお前になら分かるだろうが』

『…………』



俺はジオラの手を振りほどき、部屋を後にした。


自分の幸せとは何だろうと考えた時、まっさきに頭に浮かんだのはあの女だった。


だが俺は気のせいだと思いたかった。


俺は弱い…弱さを悟られないよう虚勢を張っているだけだ……。


滑稽だな。








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