Rose of blood *short story*
部屋に戻ると空の食器は綺麗に片付けられていた。


ホットチョコレートの入っているマグカップを除いて。


まだ中身の入っているカップを持っていかれないように、俺が机上に置いて部屋を出たからだ。


これを飲むと心が落ち着く。



『まだ微かにあの女の香りが部屋に残っている……行き違い、か………』



俺は一体何を残念がっていると言うんだ。


エリーと過ごしていた時にこんな感情を抱いたことはあっただろうか?


思い出せ…思い出せ……何度もそう心の中で唱えたが、結局分からなかった。


気持ち悪さが胸に残っただけだった。






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