Rose of blood *short story*
俺は部屋を出る前に女の体を持ち上げた。


本当に妊娠しているのかと思うくらい軽かった。


他人のことばかりで、自分はろくに食事を取っていなかったのかもしれないなと思った。



「何するの!?」

『腹に子供がいるのに走れるのか』



俺の言葉に言い返せず、女は口を紡ぎおとなしく俺の首に腕を回してきた。


理由はどうあれ、女が近くにいると思うと気持ちが落ち着いた。


そう言えば、女を抱きかかえたのは初めてだな……。




女を抱きかかえた俺の後ろを娘は静かに付いて来た。


普段はあまり使わない地下通路を通り、屋敷から少し離れている馬屋へ向かった。


この様子だとまだ馬屋は無事だろう。


そこまでたどり着ければなんとかなるはずだ。





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