Rose of blood *short story*
周りを歩く者たちは皆コートやマフラーを身にまとい、寒そうに歩いている。


俺たちも勿論冬の装いをしてはいるが、おかしな目で見られないために着ているだけだ。


ローズもヴァンパイアの血を完全に取り戻している為、寒くはないだろう。



「ルナとリオ良い子にしてるかな?」

『ラキが付いていてくれているし、あの子達はいつも良い子だよ』

「そうね。それに、シエルに似てとっても賢そう」

『俺たちは既に親バカだな』

「あはは、そうだね」



ヴァンパイアの時の装いをしていなくともローズは美しい。


ローズが笑うだけで、そこに華が見えるようだ。


周りの男どもの目に触れさせたくはない。



「あのお店に入ろう」

『何て書いてあるんだ?』

「しゃぶしゃぶだよ」

『シャブシャブ?』

「この季節になると無性に食べたくなるんだよね。どんなものかは見てからのお楽しみ」



俺の顔を見て可笑しそうに笑うローズに手を引かれ、俺たちはお店に足を踏み入れた。


中は思っていたよりもたくさんの人がいた。






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