I LOVE YOUが聴きたくて
怜樹のいる部屋の、扉が開いた。


「え?…何?…」

散々と散乱している部屋を見て、魅麗は、言葉を失った。
その光景を怜(ユウ)に見せまいと、廊下に椅子を置き、怜(ユウ)を座らせた。


「何で来たの?」

怜樹は、外へ顔を向けたまま、魅麗に尋ねた。

「あぁ、…。怜(ユウ)に海を見せたくて、夕方、夕日が沈む頃に、ここの海に来たことがあって、その時、この別荘を見かけたの。外壁に壁画が、夜光絵の具で描かれてあったから、怜樹が帰国しているのをテレビで知ってたし、もしかしてって思った。そしたら、反対側の外壁に、エッフェル塔を描いてる怜の姿を見たの。その時は、まだ再会してなかったから、話しかけずに帰ったんだけどね。でも、昨日、怜がああいうふうに言ってくれて、凄く嬉しかった。だから、来たよ」

魅麗は、満面な笑顔でいた。

「…だから…何で来たんだよ!」

怜樹が、大きな声をあけだので、魅麗は、凄く驚いた。

「どうしたの?ユウがびっくりするじゃない」

魅麗は、目を丸くして、怜樹に言った。

「ユウっていう名前なんだ…」

怜樹は、また、外へ目を向けた。

「うん。怜の名前から、漢字を取って付けたの」

「何で、言わなかった?」

「………」

魅麗は、黙っていた。

「俺は、何にも知らなくて……。俺は、そんなに頼りないか」

魅麗は、黙ったままでいた。

「俺は、そんなに頼りない!?」

怜樹は、逆上した。

魅麗は、静かに口を開いた。
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