I LOVE YOUが聴きたくて
~ カラン カラン ~

「いらっしゃいませ」

入口のベルに気づいて、魅麗が、お店の入口の方へ顔をだした。


「あ!」

入ってきた人を見て、驚いて声をあげる。


「やぁ」

怜樹は、爽やかな笑顔で立っていた。

魅麗は、一瞬凄く戸惑ったが、怜(ユウ)を幼稚園に預けていることに、胸を撫でおろす。

「中に入ってもいいかな」

怜樹は、そっと伺った。
「どうぞ」

魅麗は、本当は、怜樹に見てほしかったので、素直に喜びを表した。

「へぇー、凄いなぁ」

怜樹は、ゆっくりと歩きながら眺めている。

「あぁ!置いてある」

怜樹は、きのこ型のテーブルと椅子を見て、声をあげた。

「うん」

魅麗は、そっと微笑んで頷く。

二人は、パリで会話したことを思い出しながら、微笑み合った。


「あっ、コレは何?」

怜樹が、ひとつの商品を手に取って、魅麗に尋ねた。

「あぁそれは、ランプだよ」

「ランプ?」

その商品は、花びらの一枚一枚、葉の一枚一枚を本物の花のように作られた硝子細工。

「電池式でここにスイッチがあってね、つけると」

そう言って、魅麗は、スイッチを押した。

すると、
茎と葉が緑色に淡く点灯し、三つの花は、赤、黄色、オレンジ色に淡く灯がともった。

「ランプといっても、灯りの効果はないわね」

「気に入った。コレ、買おう。オブジェにいい」

怜樹は、花束の硝子細工を手に取って、大変気に入った様子だった。
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