I LOVE YOUが聴きたくて
魅麗は、不安でいっぱいで、怜樹の腕から離れることもできず、硬直していた。



「ありがとう」



聞こえてきたのは、自分の耳を疑うほどの、優しい言葉だった。

怜樹の声は、優しかった。


【こんな嬉しい展開なの…?】


驚いている魅麗を、そっと優しく、腕から離して、怜樹は、魅麗を見つめて微笑んだ。

そして、もう一度言う。

「ありがとう。魅麗。本当に、ありがとう」

涙目でうろたえる魅麗に、怜樹は、とても優しかった。

【こんな素敵なことが、待っていたなんて…】

怜樹の言葉が、そして、怜樹の態度が予想外だったことで、肩の力が抜けてしまって、ホッとして、魅麗は、その場に崩れた。

「おい、大丈夫か!?」

「大丈夫、大丈夫」

魅麗は、座り込んで、涙が止まらなくなった。

それを見た怜樹は、魅麗の四年間の人生の、重みや深さ、意味みたいなものを感じていた。

「泣いていいよ。もう、はきだしてしまえ。もう、一人で頑張らなくていいからね。僕がいるから」

【僕がいるから…】

聞きたかった。でも、聞けないと思っていただけに、怜樹の言葉に、魅麗は、心身ともに救われたのだった。

まさか、聞けるとは思っていなかっただけに、魅麗は、未来が開けたような気がした。

今までよりも、より一層、明るい前途となったのだと、確信した。
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