I LOVE YOUが聴きたくて
「大丈夫?」

怜樹は、ずっと、魅麗を気にしていた。
労っていた。



魅麗は、ゆっくりと立ち上がった。

怜樹が手を添える。

魅麗は、体勢を整えて、椅子に腰をおろした。

「どう?あ、何か飲む?喉は乾いてない?」

怜樹は、ずっと、魅麗を心配していた。


「ううん、大丈夫」

「そっか。良かった」

怜樹は、心からホッとしたように、清々しく優しい笑顔だった。

「ありがとう」

怜樹は、微笑んだ。

「そして、…、ごめんなさい…」

魅麗は、自分の勝手を謝った。

謝るべきだと、素直に、心から思った。

「何で謝るの?」

「だって……。産みたいって自分で決めた時、自分では、間違っていないと思ってた。自信があったの。子どもと過ごす日々は、本当に楽しくて、新しい発見ばかりで。だけど、怜と再会したら、うまくしゃべなくて、子どものことでも、傷つけてしまった。こんな楽しい子どもの発見も教えてないことになるのよね。本当に、ごめんなさい」

怜樹は、首を振った。

「謝るのは、僕だ。魅麗は、一人で産んだんだよね。ごめん」

「違う、そんなことない。私が勝手にしたことなの。授かったって知ったとき、とっても嬉しかったの。だけど、私と怜は、結婚してなかったから、怜には怜の人生、未来があるから、言えなかったの。でも、私は産みたくて…ごめんなさい」

「だから、謝るのは僕なんだよ。本当にごめん。ありがとう」

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