新撰組恋絵巻(完)
【沖田side】
時は少し遡る。
ここは新撰組屯所、八木邸。
「一番隊、集合~」
空が薄暗くなる頃、一番隊組長を務める僕、沖田総司は夜の巡察に出ようとしていた。
隊の指揮をとっていると一人の隊士にある質問をされた。
「組長、先ほど幹部の方々が集められたと聞きましたが、どんな話だったんです?」
「ああ、あれ?新入り隊士を集めてこいだってさ」
京の人々に人斬り集団として恐れられている僕達だけど、実際は深刻な人手不足に陥っていた。
「新撰組に入隊を希望する人なんて多分いないよね」
「……」
「僕達、嫌われ者だしね~」
人通りのない道に隊士達の足音だけがこだまする。
今のところ変わったところはない。
「……はぁ~、つまらないなぁ」