新撰組恋絵巻(完)
――ところが。
(あれ…ここは何処だろう?)
宿屋を目指して歩いていたはずが、いつの間にか人通りの少ない道に出てしまっていた。
「うーん、京の道って全部同じに見えるんだよね…」
なんて悠長なことを言ってる場合ではない。
……この状況を何とかしないと。
しかし、道を聞こうにも誰も歩いていない。
しかも先程から何者かに後をつけられているようだ。
気配を殺せていないところを見ると大したことはなさそうだが…。
足音の数から察するに恐らく人数は三、四人だろう。
――すると突然、複数の影に囲まれた。