新撰組恋絵巻(完)
京の治安は新撰組が守っていると聞いたことがあるけれど、昼間の出来事といい
本当にその役目を果たせているのか疑問に思うところだ。
私は影の主に思いきって声をかけてみた。
「……私に何かご用かな?」
追い剥ぎをしている浪士だろうか…?
しかし影の主は思いもよらぬ人物だった。
「小僧、昼間の借りを返しにきたぜ?」
誰かと思えば昼間の浪士か。どうやら本当に仕返しに来たらしい。
「生憎、私は先を急いでいる。またの機会にしてくれ」
「俺の相手にするつもりはねぇってか。なら、てめぇの首が飛ぶだけだ!!」
「……!!」
男の突きを軽くかわすと、私は腰の刀に手をかけた。