新撰組恋絵巻(完)
するとぶっきらぼうな声音で短い返事が返ってきた。
「失礼します」
「ったく、こんな夜中にどうしたってんだ?」
土方さんは机の上の書類に目を通しながら私に問う。
「実は私の探していた知り合いが島原で見つかりまして…」
「………」
それにはさすがの土方さんも驚いているようだった。
今まで散々、探し回っても行方知れずだった相手といきなり再会したと聞けば誰でも驚くだろう。
……しかも島原で。
「なるほどな。んで、話はそれだけか?」
しかし土方さんの反応は意外にも淡白なものだった。
「……はい。近々ここを出ることになると思います」
私は今どんな顔をしているのだろう?
感情を表に出すことなく上手く誤魔化せているだろうか?
「そういや、お前がここに身を置くのはその知り合いとやらが見つかるまでだったな」