新撰組恋絵巻(完)
そう。帝が見つかった今、私がここにいる理由はない。
「ええ。夜分遅くに失礼しました。おやすみなさい」
土方さんの部屋を出たものの、自室に戻ってすぐ休む気にはなれず、庭に出て風に当たることにした。
総司と顔を合わせたくなかったのかもしれない。
「……はぁ」
土方さんにはああ言ったが、本当は出ていきたくなんかない。
だが、そんな我儘が許されるような立場ではないし言えるはずがないのだ。
……半妖である私を受け入れてくれただけで十分。
「――そこにいるのは誰だ?」
ふと人の気配を感じた私は暗闇の廊下を見渡す。