新撰組恋絵巻(完)
「お帰り」
闇の中から姿を現したのは私が今、一番顔を合わせたくない人だった。
「ただいま総司」
「隣、座ってもいい?」
「うん。いいよ」
それきり会話が途絶えてしまい、気まずい空気が流れる。
「ごほっ…ごほっ」
時折、総司の苦しそうな咳が聞こえてくるだけで辺りは静かだった。
――ここを去る前に一つだけ確認しておきたいことがある。
「総司、誤魔化さないで教えて…。あなたの身体のこと」
「……じゃあ神楽も僕に隠してること全部話してくれる?」
やはりこの人に隠し事はできないらしい。