新撰組恋絵巻(完)




「お帰り」







闇の中から姿を現したのは私が今、一番顔を合わせたくない人だった。









「ただいま総司」








「隣、座ってもいい?」








「うん。いいよ」









それきり会話が途絶えてしまい、気まずい空気が流れる。









「ごほっ…ごほっ」








時折、総司の苦しそうな咳が聞こえてくるだけで辺りは静かだった。









――ここを去る前に一つだけ確認しておきたいことがある。









「総司、誤魔化さないで教えて…。あなたの身体のこと」








「……じゃあ神楽も僕に隠してること全部話してくれる?」








やはりこの人に隠し事はできないらしい。





< 97 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop