Mind of ice
謎の少女
そこそこ大きな街にある、そこそこ賑わっている酒場。
そこには、色々な国の傭兵がこれから行く先の戦いの作戦を、ある者は仲間と、ある者は孤独に、またある者は仲間を探し、いつも以上に賑わいつつも緊張感が漂っていた。

それもそのはずで、一年前に起きた地震で、この国「ペイルート」に魔物が大量発生。最初は警備隊が対処していたが、あまりの数で人手が足らなくなり、国は急遽傭兵を雇うことにした。

その雇い額が破格な額でもあったが、それ以外にも色々な依頼があった。その中に皆が狙っている報酬があり、その報酬額は一生を遊んで暮らせるほどであった。その依頼内容は、

「本件の原因究明と、その原因の排除」

この依頼に幾多の強者が挑み、そして未だに剥がされていないのである。
その為、さすがに無計画で挑む者がいなくなり、この様な酒場で情報集めや作戦を練るようになったのである。
そして、彼もまた仲間を探してこの酒場に入った者の1人であった。

先ほどからカウンターの端で1人ですわっている少女がいた。仲間を探すわけでもなく、作戦を模索するわけでもなく、ただ1人でゆっくりと飲み物を飲んでいた。

こんな酒場にいるのだから傭兵なのだろうが、雰囲気からは傭兵らしさが感じられず、みな少女を遠巻きに魅入っていた。
そんな少女が少し気になった彼は少女にそれとなく近寄っていった。後少しで手が届く所まで近付いた彼は少女の真後ろから声をかけようとした。

「よう。独りなら俺らの所にこないか?」

そう声をかけながら肩を叩こうと差し出した手の先で無数の小さな氷が氷霧となってその手に攻撃してきた。突然のことで驚いた彼だが、素早く手を引っ込めてその攻撃をかわした。

寸前でかわした後にそこを見たが、そこには氷霧はなく、ただの空間があるだけであった。そして、そんな事が起きたことを周りの誰一人気付いていないことに更に驚いた。

だが彼も瞬時にこれが黒魔法であることと、発動者が彼女だという事を理解した。どうやって周りに気付かせずにやったかは解らないが、それ以上にビックリと言うか驚いているところがあった。
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