Mind of ice
一瞬で周りの木々や地面を凪払う衝撃波。を、喰らったはずなのに、ダメージを受けていない。何がおきたのかと、顔を上げて確認をしようとしたら、目の前に知らない女性がセリアを左に抱え、右手をセイレーンに向けながら立っていた。
その女性が心配そうにこちらをのぞき込んできた。

「デイルさん。大丈夫ですか?」

安否を気遣うその声には聞き覚えがあった。

「リーナ…か?」

「はい。お二人のおかげで覚醒出来ました。」

ニコッと笑うリーナの容姿は、さっきまでの幼い外見ではなく、セリアと同い年位…二十代半ば頃の美しい女性になっていた。そんなリーナにドキッとしたデイルは慌てて立ち上がり周りを確認することにした。

そこは森だったはず。しかし今は周りに木々は無く、エグレた地面がリーナの前から左右に別れているだけだった。
この状況が信じられないデイルではあったが、もう一人もこの状況が信じられないでいた。

「なっ…、貴…」

リーナを指差すセイレーンの指はかすかに震えていた。
その中、抱えていたセリアをデイルに預けると、さっと踵を返しセイレーンと対峙した。

「あなた程度の力で私は倒せないわよ。」

また、ニコリとしてセイレーンに宣言をするリーナ。確かに、あの衝撃波を片手で防いだのだから、力の差は歴然かもしれない。
しかし、当のセイレーンは自分の技がいとも簡単に防がれた事に腹を立てて、正確な状況を判断していなかった。

「き、貴様ぁー!」

そう叫びながらリーナに飛びかかったセイレーン。しかし、無謀に飛びかかってはいなかった。その攻撃の線上には気絶しているセリアを抱えているデイルがいたのである。

「私の爪を避けたら後ろの二人が死ぬわよ。さぁ、割かれなっ!」

真空波と化したセイレーンの爪がリーナに振りかざされた。
避けることが出来ないリーナはゆっくりと左手をセイレーンの方へ構えた。次の瞬間、真空波がリーナを襲った。
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