Mind of ice
それを聞いたリーナは大いに喜び、そしてなんとそのままデイルに飛びついたのである。
突然の出来事であたふたするデイル。行き場を失った両手を万歳させながらリーナを覗くと、

「やっぱりデイルさんは優しい〜。」

などと言いながら、無邪気に抱きついていた。
どうすることも出来なくなったデイルは顔をセリアに向け、助けを求めたが…、セリアはそんなデイルを見ながらクスクスと笑っているだけで、助ける気など無いことがよくわかった。

そんな光景を城内から見ていたエリス。

(お嬢様、どうかご無事で…)

安否を気遣うエリスの目にはうっすらと涙が滲んでいた。

「エリス、私達もそろそろ行くわよ。」

部屋の外から、エリスを呼ぶ声がした。それを聞いたエリスは、溜まった涙を軽く拭いながら部屋を出て行った。
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