STRAY・CAT 〜ソノ指先ニ恋ヲスル〜《年上男と媚薬な契約》完
壁際に一つだけ、白木の
シェルフ。



――それ以外、何もない部屋。



「な、何コレ!?」



「ピアノだけど」



「んなことはわかってるわよ!

なんでこんなのがあるか
って聞いてんでしょっ!!」



「だから、これがオレの
仕事なんだって」



那智はおかしそうにそう
言ってピアノの椅子に座り、
おもむろに鍵盤の蓋をあげた。



白と黒の艶めく鍵盤が、
姿を現す。



「汐音が来てからは練習も
作曲も、外のスタジオで
やってたんだけど。

今日は事情でそこが
使えなくてな」


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