ラストゲーム
「…あれ…お前、さっきの…」
そこには、さっき丘で見た男の子が座っていた。
「……。」
男の子は無言で再び机に突っ伏してしまった。
(…普通学校で寝るかよ。)
俺はひそかにそう思いながらも、1時間目からの授業を着々とこなしていった。
~その日の放課後~
「なあなあ、伊野瀬。伊野瀬は、どこの部活入るんだ??」
クラスの学級長である、“天野 希葉”が聞いてくる。
「え…あー…そうだなー…。」
俺は少し迷った末に、しんじの方を見る。
「しんじはどの部活なんだ?」
俺が素朴な疑問を口にする。
「…そんなのどうでもいいだろ。」
しんじのそっけない答え。
「ちぇっ。教えてくれたっていいじゃんか。」
俺がボヤいていると、ふいに後ろから声がかかる。
「そいつは、天文学部だよ。」
「!?」
俺が驚いて振り向く。
「あれ。伊野坂先生。どうしたんすか?」
希葉が“伊野坂先生”と呼んだ相手に対して質問する。
「え?あーいや。特に用はないけど…ま、転校生見物?」
先生が俺の方を見ながら、不敵な笑みを浮かべる。
「しんじも、もっと愛想振りまけばいいのに。」
しんじの頭を軽くたたきながら先生が言う。
「…余計なお世話だ。」
…が、しんじがその手を跳ね除ける。
「あ。俺、“伊野坂 りょう”。りょうって呼んで。」
先生が俺に向かって言う。
「あ…ども。伊野瀬 竜っす。」
俺が軽く会釈しながら名乗る。
「ほら。しんじ。そろそろ行かねーと、遅刻すんぞ。」
りょうがそう言ってしんじを促す。
「…あぁ。」
しんじはしぶしぶ、教室を後にする。
(………)
『竜。どうかしたか?』
ランプルが聞いてくる。
「…いーや。何も。」
(…天文学部…か…)
< 3 / 6 >

この作品をシェア

pagetop