【BL】風鈴が鳴る頃に[短編]
花火どころじゃない頃に
少し周りがざわつき始めた。
すると間も無く、ドンと一際大きな音がして夜空に色鮮やかな花弁を散らす。続けざまに打ち上がる花火。度派手な演出と周りの喧騒。
ーー花火大会の幕開けだ。
(今なにしてんかなー、あいつら)
足元に転がるサッカーボールを見つめながら、ベンチでくたーと考え事をしていると、唐突に君からの質問攻めに合う。
全く、予測不可能である。
「かき氷と言ったら何」
「はぁっ?かき氷……味ならやっぱイチゴかな」
「ふーん。じゃあ夏と言ったら」
「今度は夏!?な、夏と言ったら……あ、風鈴とか」
「花火前にして風鈴か」
「べ、別に良いだろうがっ。てかさっきから、意味わかんない質問ばっかしてくッ……」
いつの間にか俺の目の前に立っていた君に、ぐいっと引っ張られ、立たされるように起き上がった俺は……。
何してんだろう。
近いなんて距離じゃなかった。
だって片手で頭を押さえられて、それはもう抱き込まれると言った方が的確な気がする。
視界いっぱいに広がる藍色。
頭が追いつかない、働かない。
ーー周りの音が全て、消えた。
すると間も無く、ドンと一際大きな音がして夜空に色鮮やかな花弁を散らす。続けざまに打ち上がる花火。度派手な演出と周りの喧騒。
ーー花火大会の幕開けだ。
(今なにしてんかなー、あいつら)
足元に転がるサッカーボールを見つめながら、ベンチでくたーと考え事をしていると、唐突に君からの質問攻めに合う。
全く、予測不可能である。
「かき氷と言ったら何」
「はぁっ?かき氷……味ならやっぱイチゴかな」
「ふーん。じゃあ夏と言ったら」
「今度は夏!?な、夏と言ったら……あ、風鈴とか」
「花火前にして風鈴か」
「べ、別に良いだろうがっ。てかさっきから、意味わかんない質問ばっかしてくッ……」
いつの間にか俺の目の前に立っていた君に、ぐいっと引っ張られ、立たされるように起き上がった俺は……。
何してんだろう。
近いなんて距離じゃなかった。
だって片手で頭を押さえられて、それはもう抱き込まれると言った方が的確な気がする。
視界いっぱいに広がる藍色。
頭が追いつかない、働かない。
ーー周りの音が全て、消えた。