慟哭の彼方
ふと外を見ると、ドアの前で彼が待っていた。
あの日、心からの親友を切望した少年が。
「これからたくさん、たくさん遊ぶんだ。今まで行けなかった所も、行かなかった所も」
ほら、やっぱり。
チェルシーの口角がゆるゆると上がっていく。
やっぱり、魔法だけじゃ予想できないこともあるんじゃないか。
「そうか…」
ようやくいつもの不器用な笑顔が戻って来て喜んだのは、ハイゼルよりもチェルシーよりもアルスだった。
ハイゼルは顔を上げた時にほんの一瞬、見てしまった。
泣きそうに微笑みながら彼女を見守るアルスの横顔を。