慟哭の彼方


魔法でどうにもならないことだってたくさんある。

だけど、いくら何でもあんまりだ。


彼女が死んだと言わなければいけないのか?

本当に死んでしまったかどうかもわからないのに?


わからない、まだ生きているかもしれないんだ。
店に顔を出さなくなっただけかもしれないんだ。


「マイラスはもういないよ」

思い悩むアルスの耳を貫いたのは、凛とした美しい声だった。

泣きじゃくっていた先ほどを感じさせないぐらい、その声には心が通っていた。


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