コンパスで作る地球



「それは……」


「せっかく捕れた記念の写メだしなぁ。保存しようかな?」


尾田クンの挑発に柳澤は普段とはまったく違う動きになる。威張ったり嫌味を言ったりしない。


人は自分の弱みを握られるとこんなにもころりと人格が変わるものなのか。


私は大人がますます嫌いになる。


「まぁー別に?これはもしもの話ですけどね。」


「…。」


「就也……」


柳澤が唇を噛んで怒りをグッと抑えているのが手に捕ったように分かる。


「んっ?」


わざとらしく尾田クンが携帯を柳澤の顔に押しつける。


「早く席に着け……」


「嘘だ。」


ボソリと柳澤が呟いた。それに真子が思わず本音をこぼした。


これは明らかに敗北宣言。


柳澤に勝つ=前代未聞。


「イヒヒッ。席に着きまーす。」


満足そうに尾田クンは自分の席に着いた。それをクラス全員の生徒が唖然とする。


「何者だ?」


漆原クンまでもが疑いを持つ。



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